GNSS測量
GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)は、人工衛星を利用して地球上の位置を高精度に測定するシステムの総称です。
GNSSの仕組みと測量への応用
GNSSは、複数の衛星から送信される信号を地上の受信機が受信し、その到達時間の差をもとに位置を算出します。測量分野では、以下のような方式が活用されています。
- 単独測位:1台の受信機で4機以上の衛星信号を受信し、位置を計算。誤差は約10m程度。
- 相対測位:2台以上の受信機で同時に観測し、誤差を相殺。数cm〜mm単位の高精度が可能。
- RTK測位(リアルタイムキネマティック):基準局と移動局で同時観測し、リアルタイムでcm級の測位精度を実現。
- ネットワーク型RTK:複数の基準局をネットワーク化し、広域で安定した高精度測位を可能にする方式。

平面測量(地形測量)
目的:地形や構造物の位置・形状を平面的に把握し、図面化するための基礎測量。
主な手法
- トータルステーションによる角度・距離測定
- GNSS測量による座標取得
- UAV写真測量やレーザー測量による点群生成
活用例
- 基本設計図の作成
- 土量計算や施工計画の基礎資料

中心線測量(路線測量)
目的:道路や鉄道などの線状構造物の中心線を現地に設置し、線形図を作成する。
主な工程
- IP(直線の交点)の設置
- クロソイド曲線や円曲線の計算
- 中心杭の設置(通常20m間隔)
活用例
- 道路設計の線形決定
- 縦断・横断測量の基準線

縦断測量
目的:中心線に沿った地盤の高低変化を測定し、縦断図を作成する。
主な手法
- レベルによる器高式水準測量
- TSやGNSSによる間接水準測量
活用例
- 路面勾配の設計
- 排水計画や橋梁設計の基礎資料

横断測量
目的:中心線に直交する方向の地形断面を取得し、横断図を作成する。
主な手法
- TSやレベルによる断面測量
- 点群データからの断面抽出
- 河川やダム湖では深浅測量(ボートに音響測深機装着)との併用
活用例
- 土量計算(切土・盛土)
- 擁壁・法面設計、用地幅の決定
- ダム湖底の地形状況の把握

用地測量
目的:土地取得や境界確定のために、地権者情報・境界・面積を明確にする。
主な工程
- 資料調査(公図・登記簿・地積測量図)
- 境界測量・境界立会い・境界杭設置
- 面積計算・用地実測図作成
活用例
- 土地買収・補償業務資料
- 公共事業の用地確定

3D点群測量
空間を「点の集合体」として捉えることで、現実世界を高精度にデジタル化する革新的な測量手法です。
単なる「記録」から「意思決定支援」へと進化しており、測量の未来を可視化する技術として注目されています。
当社は点群取得を行う機種として、操作の容易なハンディースキャナーを使い現場作業を行っています。専門的な技術は必要なく事前準備等も不要な事からスピーディーに点群取得が可能です。取得した点群データから点群処理ソフトを使って平面図や断面図等の作成を行っています。
主な取得方法
- ハンディスキャナー(SLAM):屋外・屋内の複雑地形での機動性に優れる
- UAV搭載LiDAR:空中から広範囲を高速・高密度にスキャン
- 地上型レーザースキャナー:構造物や狭小空間の詳細な3D取得に最適
- フォトグラメトリー:写真から3D点群を生成する手法。コスト効率が高い



これらの測量技術は、設計・施工・維持管理のすべてのフェーズで不可欠な情報基盤を提供します。